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Goethe-Zertifikat C2: GDS の課題図書は他愛ない

 

この記事で言ったGoethe-Zertifikat C2: GDS(2021年3月)Schreibenモジュール課題図書の

Der alte Konig in seinem Exil

Der alte Konig in seinem Exil

 

ぼちぼちでも10日で読み終える非常に平易なドイツ語。

Goethe-ZertifikatのC2: GDSてこんな低レベルなんかよ。

だが、認知症の老父を描いた小説で、息子=語り手=(どうやら)現実のアルノ・ガイガー(Arno Geiger, 1968–)。器質性疾患なのだからその症状をいくらあれこれ描かれてもああそうですかというものでしかなく 読まされるほうとしてはそのような報告など無意味なのだが、認知症なった人はこんなんなりますこんなんしますこんなん言いますと報告を連ねていくのにエンエン付き合わされる。特別な行動は通常の者がしている時に初めて注目に価するものであって、脳(の故障)がさせているだけにすぎない事をどれだけ報告されても、そんなんは、感冒に伴って出た咳の回数を聞かされるに等しく、あって当たり前のことをそれがありますありますと聞かされるだけの無意味だ。

もちろん、そういった状況、そしてそこから著者が想起していく登場人物たちの身辺や世相を著者がどう感じているのかを吐露していくのが本筋ではあってそんなことぐらい分かっているが、その点に関しても、特にこの小説に限ったことではないが、ひとかけらも共感できないし、何を言っているのかがさっぱり飲みこめん。自分に似た人でも出てくるのならいいのかもしれないが、自分に似た人が出てきた小説や物語などこの世に1ページたりとも存在しない。描く両親の対比が私の両親の対比に似てなくもない(特に81頁~が痛烈だったわ)が、そういうのはどうでもいいことだ。家族なぞクソどうでもいい。それより、荻原浩明日の記憶』(9784334743314)や重松清その日のまえに』(9784167669072)を思い出したが、別に思い出しただけ(読書録でよく居る、〇〇を思い出したとか〇〇を思わせる内容だとかそのテのことを書く奴、お前はものを書くな)。似た人はともかく、他人という異星人の心情がいつも理解の光年彼方であるところであって、小説で著者が何を述懐し表明してくれても、意味不明だ(安易に共感できて理解できている読者のほうが不忠実で不義理なんかも知れないがな)。

確かに、うならされる考察というか名台詞があるにはある。あるあるなことだ。ふつうの小説なら、というか他の文学でも、いやそもそも本の形になって或る程度の量に達している文章なら、なるほどと膝を打つ箇所は多かれ少なかれ何かしらはある(ちなみに書くことがそういうのばかりな上にすべてが意味不明に終わってるだけのダダスベリ失敗者として某三島由紀夫とかいう異世界日本語で書いていた者もいる)。例えば14頁に、認知症患者が子供のようだというのは観点の倒錯であって、未来に進んでいるのが子供である以上そこに戻るってどういうことやねん、子供は獲得者だが病者は喪失者だろが等と書いてある。うん おもしろいな。安心の居場所とは実家とは限らず心の休まる場所のことだ、話はココロの問題だと55~56頁に述べている。そやな。脳疾患状態では認知がことごとく周囲とズレるからあたかも亡命している人みたいだと57頁にある。書題の由来。57~58頁に、健常者が病者と本質的に違っていることなどなく、どちらも世界というカオスの闇に直面しているが、前者ならそれをダマシダマシやってくことが出来ているだけだと述べているのは、月並みと言えば月並みな言葉だ。そんな話は科学のほうがずっとおもしろいし明確だし実証的だし説得的だ。119頁に、認知症の父に何かをさせるには命題的な言い方をするのでなく疑問文的な言い方をしたほうがいいとあるが、これは一般的な言語戦略、一般人の言語活動そのものを描いている。やりたいことをさせるにはXヲシテクダサイよりもXッテドウヤッテヤルノデスカのほうがいい。うんまあ聞いといたらいい考察ではある。特に病者が居てくれなくても判ることではあるが。認知症とか別に関係なく 心理的リアクタンス(psychological reactance)の常識だ。176頁下段にある名台詞など見逃せないもので、故郷などの出自から遠い所にいればいるほど人生時間がゆるやかに流れ長さが延びると書いてある。人生を少しでも長くするには亡命や海外移住したほうがいいだろう。こうしてみると、老父の認知症と大戦従軍体験を重ねているのかも知れない。そういう考察は大嫌いだが(なお、戦中前後の昔の生活ノスタルジーなどもひたすらうっとしく、テーマの1つであるフルサトとその安心感ともども、1ミリもクソどうでもいい話である)。名台詞の含蓄を素直に鑑賞していればいいのである。例えば179頁に、人生とは失敗の時に初めて人生となると述べてある点など、よう見とけ。それだけを鑑賞しておくねん、著者にとっての意味や作品の中での位置づけや整合性や文脈理解など アホにやらしときゃええことや。181頁~のの粉飾は感心せんが、181頁で、死後には自分という人間が関わっていたものが他人という人間が関わるようになるのだな、自分が居た場所に他人が居るようになるのだなといったようなことを書いている点は印象的。自分が死んで宇宙永劫に消えても他人と世界はつつがなくやっていき転がっていく。自分に何があっても朝は来て通勤している。世界の沈黙。

以上のようなどうでもいいことよりも大事なことだが、この本は手持ちのスキャナーで自炊してKindle Paperwhiteで読んだわけなんだが、読まん日もあったし集中して読んでいないから10日かかったのはかかりすぎだが、その間に、Kindle Paperwhite、1回も充電していない!!!!例えば2時間ぐらい読んでも、6%ぐらいしか電池が減らない。

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誤解/矢倉楓子 白間美瑠

誤解 /矢倉楓子 白間美瑠

NMB48

  • 発売日: 2018/04/04
  • メディア: MP3 ダウンロード