地上最強のブログ

しばいてくぞ

連鎖する #03_1

 

前回の記事から 

それがどんな絵なのかというとこの記事で引用しているが、ここでも必要最小限だけ例示しよう(とにかく無心でコミック開けばその怪異が即座に知解できる代物だ)。例えばネット上子供が一時ネタにしてた金太郎飴だが、同調バイアスで感性を歪めないで素直に無心に見たら、度胸のカタマリにしか出来ないような大胆きわまる表現である。それは『刃牙道』9巻136頁~に見れる(から自分で確かめたらええしググったら出るかもな)のだが、その直後の139頁:
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ただキャラが立ち上がってるだけなのだが、恐るべき雄弁さである。他に比べて躍動も大仰もぜんぜん無いコマなのだが、あまりにも多くを語っている。顔さえ見えないこのキャラが目の前に人物に対していだく抑えこんだ黒い憤怒、それをどうしてくれようかという暴君の裁量が、抜刀直前の暴虐を予兆する絶大な立ち姿に封入されている。炸裂寸前の嵐が静けさの中から漏れ出ていて、不可避の危険と暴力の獣臭が仄かにしかし禍々しく発散している。

これが表現力というものだ。

こんな例は挙げだしたら何千何万画像上げてもキリがないのだが、敢えてこの9巻から離れないでこの巻だけを探しても、とんでもない表現力の目白押しである。例えば同巻84~86頁を引用する(ついでに同巻59頁から引用しておいたページ(右側)に見るように、上記金太郎飴などはそもそも板垣の実験的手法の1つにすぎないのであって取り立てて注目するようなものではない)と、こうである:
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 ↑ 左側3ページだが、これほどに絵に語らせている並外れた表現を、漫画界のどこをどう見渡したらみつけれるだろうか。仕合う前の両雄の関係・覚悟・内心・意味・役割が、それを小説でやろうとしたら何頁もかかる叙述になるであろう言葉での説明一切抜きに、描かれた絵だけから、伝わりすぎるぐらいヒシヒシと伝わってくる。それでいて、絵と正反対の内容である両者の会話が、ものの見事なアイロニーになっている。格闘技や喧嘩には言葉での丁々発止が付き物だが、そういう応酬も板垣漫画はとんでもなく上手い。

繰り返すが、これは板垣作品の中の特に目立たないであろう箇所である。一方戦闘シーン特訓シーン等を始めとする山場での表現の独特極まりなく前代未聞たることと来たら、どれだけ多言を費やして評して分析しても、ぜんぜんまったく足りない。こういう表現力を読み解くのだから、表現情報密度が極端に高いのだから、板垣漫画を1冊読むのには最低でも2時間以上かかる。このページの後半でも述べているが表現「力」という点では史上随一だろう。しかも特筆すべきことにそのテンションが一向に下がらず年月とともに変質しないのである。それは、そこまで個性的で特徴的ではない構図:
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を一瞥しただけでも十二分に分かる。左が『グラップラー刃牙』1巻(1992)の149頁で右が『範馬刃牙』37巻(2012)の78頁、この間実に20年である。(と書いたこともそうだが、今は、学術的批評的・専門的技術的・絵画技法的に言って何がどうというハナシは一切まったくしていない(し今後一切することも無い、ムダ)から、カン違いするなよ。)なお、右のキャラは、ベトナム戦争でのDr.マンハッタンへの対抗人物である(この記事も参照)。

このような驚異的な表現力は、誰の目にも止まらなさそうな地味な絵からも、看取することが出来る。『餓狼伝』22巻、対姫川勉戦で一歩を踏み出す長田弘の足の絵(53頁):
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だが、およそ数あるバトル漫画・人体表現ジャンルで足をここまで雄弁に効果的に(というかそもそもこんなに克明に)描いた例があるだろうか、足の絵だけにここまで迫力を演出させることができた例があるだろうか、たんなる足の絵がこれほどまでに激烈死闘を序奏できた事があるだろうか。この足と足にかぶさった文の構成、この絵面に、マグマのような滾り立つ、憤怒半ば決死半ばの、人体闘争の不吉さ不穏さというもの、或いは漲り返る自信が、余すところなく描かれている。

こういった表現の追求は枚挙にいとまがないが、例えば『餓狼伝』16巻君川京一対工藤建介戦から(154~155頁):
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実に、戦闘を描いた描画ジャンルで、こんな表現があっただろうか。今までに、こんな漫画が、あっただろうか。

このように、台詞を費やすよりも、漫画の本質である画にこの上なく雄弁多弁に語らせる第一級の表現力が板垣漫画の特徴であるのだが、その台詞というのでもまた、前例のない表現を追求している。『餓狼伝』11巻の丹波文七対堤城平戦に
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というコマがある。左側36~37頁。ついでに同巻71~72頁も右側に引用する。人が人に打撃を加える絵が数あれど、ここまで生々しくリアルに描いたものがあるだろうか。

そう、本領である殴り合いシーンだと多言を費やすまでもなくその壮絶さが判る。不図ランダムに思いついただけの『バキ』17巻の34頁と38頁:
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多言どころか言葉もない表現力だが、板垣作品はどの箇所もこのようなものである。

そして表現力ということでは、 

次回の記事に続く

 

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