現代は自室に居ながらにして世界中の映像が見れる時代
Petzl Sport氏の動画
だが、旅行もしやすくなっていて著述もしやすくなっていて発信もしやすくなっていて出版もしやすくなっていて(なのかどうかは知らんが)書籍に関しても旅行記冒険記系ばんばん出ている。バックパッカー黎明期がはや半世紀以上前、秘境探訪・(日本)人跡未踏の時代が終わり、極貧自慢の時代が終わった。クソ時代終わってせいせい。
2000年代より前、すべて要らん。90年代以前の文化、存在しなくていい。出てくんな。
本アレルギーだからやっと50冊に1冊がまともに読めるか読めないかぐらいで、特に、専攻関係の本が皆目読めず、歴史系の本が1冊も読めたことがない(唯一ここでアフィ貼ったチャールズ・C・マンの『1493』と『1491』だけが読めたものだ)のだが、ポピュラーサイエンスや旅行記系といった好物だと20冊に1冊ぐらいはまともに読める。数字はイメージです。中でもここでアフィ貼った
- 作者: 宮城公博
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2016/03/25
が一番強烈だったものだが、他の逸品も記録しておく。(なお山系は、冬山モノや登頂モノといった本格(扱いなのだろう)系ほど面白くなく、そういうのでないほうほど好ましいことになる。例えば吉田勝次:
- 作者:勝次, 吉田
- 発売日: 2017/10/05
。)
と言ってもこの好き嫌い激しさのゆえ、何でも読めてるワケでなく、沢木耕太郎も下川裕治も蔵前仁一も高野秀行も宮田珠己も角幡唯介も特に感心しないし、『何でも見てやろう』周辺のインテリ旅行記には一切感心しない。
- AKB48
- 発売日: 2014/04/01
- メディア: MP3 ダウンロード
読む気にならんものとしては、何事にも通じていて現地のことを知っていてカモられることもなく災難などスイスイよけてしまいよる、よくよくデキあがった要領いいタイプの奴ら。こいつらはひたすらクソうざい。本出すな。
他にも、フツーの旅行者なら難儀する状況や場面や行動などがどこ吹く風となるような、そんな日常の遣り取りには目を向けるひまもなしというような、大目的大義を抱えたご立派な連中。こいつらも、1文字も読む価値が無い。
だから、明らかに大変で未知のことだらけの海外の旅という場面で、移動も手続きも注文も取得も交渉も会話も最初から知ってたかのようにソツなくこなしてくさらす世慣れ旅慣れてるらしい御立派なクソ方々のくそゴミどもではなくて、よくそんなんで生きていけるな生きてこれたなとすら言いたくなるような素人丸出しでドロドロ臭くて苦労にまみれ倒しの下手でショボくて詐欺られまくりで他愛のないことで一喜一憂の旅行者、というのが、読んでて読み甲斐が有る。
そうして、例えば
- 作者:たかのてるこ
- 発売日: 2013/02/01
並みの、恥じの晒し倒しの呆れるしかないシロートものが好物となる。ただし同書はさすがのさすがにヒドする。これに比べると
- 作者:荒井 奈央
- 発売日: 2012/06/26
のほうがましな文章だしそれに面白い。ただ、喫煙大麻麻薬ギャンブルといったアホのやることに一切興味ないから、これにも感心はせん。
それにこの2冊はさすがにごく普通の旅行を膨らませているだけすぎる。(そういった、特に何の変哲もない旅行を特別なもののように見せる文章で有名なのがゲッツ板谷で、国内旅行記東南アジア旅行記どれもかつて夢中で読み漁ったものだが、今考えると感心しない内容が少なくないし、その文章も、後述するさくら剛のようなもっと強烈な文章と体験談の前にかすんでしまう。それでも
- 作者:ゲッツ板谷
- 発売日: 2002/07/24
- メディア: 文庫
ぐらいは挙げておく。ゲッツ板谷本に似たところで
を思い出すが余り印象に残っていない。)
なお、上2書や下数書もそうだが、招かれるとか泊めてもらうとか送ってもらうとか案内してもらうとか、ひどい時には恵まれるとか融通効かせてもらうとか、その他何らかの世話になる等々のような、一銭も払わず相手にコストを持たせるという無銭飲食系の話、を当たり前のツラして書いているボケどもが居て、挙げ句にはそれが無償の親切なり見返りを求めない好意なりの美談として酔っぱらっているカスどもが居るが、こいつらは明確に人間のクズである。(最も悪質な無銭受恩が、「ヒッチハイク」とかいうテロまがいの犯罪行為である。)が、世の大多数の紀行旅行本諸々がそうなってしまっている。
したがって、とにかく素人くさいとか、準備ができてないとか、現地に通じてないとか、英語できないとか、ちょっとしたことで往生するとか、へたしたら乗り物でふっつーに移動するだけの簡単な旅行で苦労するとか、とにかく一般人目線で書けているものが好ましいことになる。
したがって、海外での日常生活を見ることそのものが愉しいという読書になるのだから、別に旅行記は旅行記に限らなくてもよくて、
老いて男はアジアをめざす-熟年日本男性のタイ・カンボジア移住事情
- 作者: 瀬川正仁
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2008/08/02
といった本もまた非常に読み応えのある旅行記類なのである。
そして、居ながらにして他人事を安楽に鑑賞、本の中の艱難辛苦談をのほほんと読んでいられる体験、という話からすれば、本記事が是非取り上げなければならない本として、一例だが
などがある。これは、社会問題の本ではない。そう読みたいのは世間とお前の願望にすぎない。何の本をどのように読むか、何の作品をどのように受容するかは、おのれ自身の外ならぬてめえ自らが決めることであり決定することであり断定することだ。この本は、過ぎた時代のノスタルジー懐古ものである。そういう本としては、第一級である。実際に旧時代懐古モノとして出ている諸々のクソ本たちと違って、昔日日本がぷんっぷん匂ってきてそれでいて嫌味が一切無い。かつて日本にこんな大変な労働環境があったんだなとのほほんと鑑賞させてくれる最上の1冊である。そんなん今もあるのかもしれないが、知らん。あったらまた取り上げるだけのことだ。(大手自動車メーカーの下請けの工場で溶接ロボットに部品置くライン作業を数ヵ月していたりその他無数の工場や倉庫や職場に行ってる自分からすれば、たいがい複雑な工程の自動車部品ラインで5時間休憩なし・しかもこれでまだ半日・この実働ペースが毎日などという地獄は、今の日本のどこにも想像できないとしか言えない。その他、寮から(!)通勤徒歩40分などという意味不明理不尽などなど、どう見ても旧時代昔日の話であるとしか言えない。また、この鎌田も(少なくとも当時は)ふっつーに ニコ厨 排煙人であり、周りもみんなそうで、どうやら勤務中もすぱすぱ、こんなのはどっからどう見ても旧時代昔日の光景である。昔の日本はクズどもの呼出煙天国だったのである。こんなところに生まれんで真実心底よかった。)
さて、旅行記の話だが、非プロ的なチャレンジ的な内容としては、
- 作者: 林美恵子
- 出版社/メーカー: スターツ出版
- 発売日: 1996/07/01
が破格の別格に面白い。「体当たり」な海外挑戦モノとしてはこれ以上のものは想像が付かない。人生教わってしまうぐらいの内容としてはこれを措いて他にない。発表後四半世紀近い今では知名度ゼロにも等しい作品となっているが、読んで得るものは一等充実している。そして(下記さくら氏同様)林氏のは他の著作もどれも読み応えある。
女性が著者と言えば
- 作者: 峠恵子
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2015/09/18
など、表紙や著者本職から受ける印象と違って何らイロモノではなく、それどころか、旅行記冒険記の中では並外れて筆致が堅実で精緻である。それでいて、航行の苦労話が面白くて仕方ない。それだけでお腹いっぱいになるのに、航行編は往復の移動にすぎず、本目的の島探検が輪をかけて密度の高い内容になっている。類書同サイズ本ではボリュームが推定最高密度で、冒険の内容自体も、今のご時世でこんなんアリかよと嘆息モノである。それにしても、非プロがよくここまで克明にしかも読み手を引き込む面白さ満点で書いたよ…。これぞ労作。
上記林氏のように冒険時期自体が大分昔となると、
- 作者: 田中真知
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2015/06/17
なども読み応え相当である。同行することになるヨメはん超大変。「オナトラ」えげつなすぎ。もう「オナトラ」しか覚えてない(こういう船だろうか)。他にも道中の過酷さ描写に引き込まれるばかりで、忘れがたい本となる。
こういった本の醍醐味というかその存在してる意味は、自分なら行けないところに行ってやりたくないことをやってくれる人、自分には出来ないことをいわば替わりにやってくれた人に体験を追体験させてもらうということ、これであるから、だからこそ、
- 作者:服部 文祥
- 発売日: 2013/12/24
など珠玉の一品ということになる。こんなシンドいことをよくやってくれた。この本は特にこの本を書く作業が(特に前半が)シンドかったと推測される。他人の著作と自分の記録をシンクロ編集するのだから、相当に面倒だっただろう。労作である。
さて昔日と言えば、やはりこれ:
もはやいわずもがな。一体何十万人の人を感動させ、何万人の人を奮い立たせ、何千人の人を海外と山岳へ送ったのだろうか。今読んでも1ミリも1色も色褪せない感興ものだが、今これと同等の旅行と冒険をしなければならない事情はもはやどこにも無い。植村氏のようなバケモンなど登場しようがない(と言いつつ登場するんだろな人類のことだから)。この人にしか出来ないとしか思えない事だらけなのに、プロぶらず一流看板下げず、身近で親しく感じてしまう。これ大事。超一流だの天才だのの話は聞いても仕方ない。泥臭く、やりたい事に一直線で、挑戦してぶつかって行って亡くなっていった人。真実の英雄=主人公。
それもあって、
が植村氏に捧げるリスペクトには目頭熱し。自分は植村さんの「弟子」なんですからと言ってのけた野口氏、この人もそれはまあ泥臭く、いい感じで不っ器用なのだが、さらに、失敗や手抜かりやずさんが重なり続ける人で、そのダメぶりによって読み応えが一段とバツグンである。清掃登山の件もあるが、この世に居て欲しい冒険家はこういう人である。
そして、戦後最大の冒険家さくら氏である。
アフリカなんて二度と思い出したくないわっ!アホ!!―…でも、やっぱり好き(泣)。 (幻冬舎文庫)
- 作者: さくら剛
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/12/01
インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも (アルファポリス文庫)
- 作者:さくら剛
- 発売日: 2009/07/24
中国なんて二度と行くかボケ!! ・・・・・・でもまた行きたいかも。 (幻冬舎文庫)
- 作者:さくら剛
- 発売日: 2011/07/07
この人の旅行記は当然全冊読んでる。この人が旅行というものと日本語の文章というものに拓いたパイニオア的偉業は、人類が泳遠に記臆するだろう。この人は、大べn 書かなければならないことを書いた。例えば、イスラエルとパレスチナ自治区での滞在(そこでも大べn)。例えば、ジャングル単独行。例えば、自分から進んで土産屋に連れて行かれ、占い師と対決するインド編。いずれにせよトイレ事じょ それらを綴る、革命的な文体。およそ現在時点で若者でいるというすべての旅行予定者が必読必携のさくら剛旅行記シリーズである。文庫だし、すべて買ってしまおう。特にハラの弱い人h