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しばいてくぞ

副詞を制する者はドイツ語を制す (3) ドイツ語絶望状況

Das Unorganische bedingt uns ganz und gar: Wasser Luft Boden Bodengestalt Elektricität usw. Wir sind Pflanzen unter solchen Bedingungen.

(Nietzsche, 1881,11[210])

 

(人生を決めるのは無機的なブツである。環境というものに存在している物体や物質がお前の人生を決定付ける。環境に固定され支配されているということを知れ。

ニーチェ

 

前回の記事から 

前回述べた事柄を認識するには、自力で分かって来るのもいいが、そもそも普段から文法気にして文法書目を通してないといかん。本シリーズ第1回にも記したような評判だけが先行している無用本がウジャウジャ有る。皆が持ってるから書店が進めるから自分も、というテイでお前が買って役に立ってないそのうんこを捨てろ。評判だけで中身ぺらっぺらの「必携ドイツ文法総まとめ」に手を出す。挙句しょぼい文法力で止まる。で、名詞だらけの欧米言語版の訓読に止まり、原文を何も読めてないようになる。あと桜井『ドイツ広文典』も、うっすい内容で何の役にも立たず、「小型」であることしか取り柄がない。

ポケットサイズに限定して言うならだが、こういったレファレンスなら、小原静人『ドイツ語変化全表』(大学書林といった文法網羅し尽くしたもの

ドイツ語変化全表

ドイツ語変化全表

  • 作者: 小原静人
  • 出版社/メーカー: 大学書林
  • 発売日: 1992/09/01

なり、倉石五郎のほうの三省堂『コンサイス独和辞典』(第5版

コンサイス独和辞典

コンサイス独和辞典

  • 作者: 倉石五郎
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1991

なりといったものが有るのだが、↑ のアフィに見る通り絶版・品切れである。忘恩の出版状況。学習者がどんどん程度低くなってて口当たりいいだけの小奇麗すっからかんばかりが売れてる事の結果。

ポケットサイズに限定して言うのでないのならここで述べたものが有るが、ゆうて木村相良のほう絶版。辞典で言うなら現在流通しているのでまともな物が小学館大独和しかない。日本(語)でのドイツ語のレファレンス(学習環境)は最悪の状況だと言える。

では日本語以外だとどうかというと、20世紀以降のドイツ語辞典で木村相良と小学館大独和なみの情報量のあるドイツ語辞典が地球上にまったく存在しない。DudenだろうとWahrigだろうとLangenscheidtだろうとその他その他 木村相良と小学館大独和に比すれば不足だらけAmazonレビュー書いてる奴らはドイツ語をまともにやってないただのドシロート。だから郁文堂みたいな役立たずに喜んでられる。こいつらは何も読んではいないんだもの。

「Räuk」が載ってる辞典が有るか。「Woog」は?Iniquitätは?「Nuppel」は?形容詞の「fron」は?「schnaufeln」は?… 全部、木村相良には、載ってる。この中で、Dudenに載ってるものグリムに載ってるものもあるが、見ての通り役不足である。数分間テキトーに木村相良開いただけでこの差だ。また、収録語数では劣ろうとも小学館大独和だと解説量がケタ違いである。(何故こういった彼我の差ができるのかと言うと、漢字仮名表記とローマ字表記の情報量密度の差であろう。漢字仮名がビッシリ密集してしまえば、これに匹敵する情報量の文字システムなど他に存在しないようだ。といった恩恵だらけのビッシリ表記も、字が見えな~い読みにく~いの低級消費者どもの所為で追放されて行っている。)

原文が何を言ってるのかを訓読式にでなくその根底に迫る気で、とまでご大層なこと言わなくても、原文の文法と語義を全部ちゃんといわゆる「正当化」して読みたい気になってテキストに取り組んでいれば、大部の文法書でないと間に合わないし、木村相良・小学館以外ではどんな大辞典でも物足りなくなってくるし、これらでも往々にして物足りず口惜しさに  苦渋  憤激面という事にすらなる。

ウェブ上でグリム辞典なりはたまたドイツ語版Wiktionaryという選択肢にしても、前者は19世紀以前にしか対応してない(ので別にいいのではあるが)し使い勝手悪すぎる、後者も使い勝手は甚だよいのだが収録語彙が少なすぎる。補助的には使える。スマホが辞典な。

一方文法書に関しては、Hammer's German Grammar and Usageという、何よりも啓発的で必要情報満載で痒い所に手が届く本が、版を重ねすらして、活気が有る。ああよかった(ゆうて上記リンク先記事にアフィ貼ってる橋本と違って19世紀以前の文献に取り組むには物足りない)。

で、副詞の話。副詞に関しても、結局

Hammer's German Grammar and Usage (Routledge Reference Grammars)

Hammer's German Grammar and Usage (Routledge Reference Grammars)

  • 作者: Professor Martin Durrell
  • 出版社/メーカー: Routledge
  • 発売日: 2011/05/27

の145頁から真髄を教わる。

7.3.4 Many German adverbs have a verb or a subordinate clause construction as their only or most natural idiomatic English rquivalent

だとして、次頁で例を挙げている。

次回の記事に続く