不定詞句構文内で主語を消す:
- man getraut sich mit Recht, [man] 青空 von NGT48 für Weltmeisterwerk zu halten
という話がこの記事の内容。(ってかこの曲(と荻野由佳)の話がしたいんやがな。ドイツ語なんかどうでもええねn
まず前の記事のことを文例に於いて確かめる。羽衣伝説の「白鳥乙女〔Schwanenjungfrau〕」が出てくる例のハイネ『精霊物語』冒頭から抜いてくる(いつも通り、最低最悪のゴミクズサイトの「グーテンベルク〔Projekt Gutenberg〕」でなくて、Zeno.orgから引用):
Wie man behauptet, […](聞くところによると)
Eine geheimnisvolle Ehrfurcht durchschauerte meine Seele, als ich einst, […](畏敬の念に打たれたのは)
»Hier«, sagte mein Wegweiser, »hier […](ガイドが言うには)
Nicht alles ist tot in Westfalen, was begraben ist.(埋葬したからと言って死体だとは限らない)
Unschätzbar ist das Verdienst […](最高の業績はと言うと)
In der Tat, um diese Quadern […], dazu gehört […](実際〇〇のに掛かる時間となると)
Eine Hauptquelle für Erforschung des altgermanischen Volksglaubens […](古ゲルマン語圏内の民間信仰の主なソースと言えば)
In der deutschen Urschrift […](原文だと)
In seiner Lehre von den Elementargeistern […](精霊論書では)
Anstatt neue Worte willkürlich zu schaffen, hat er es vorgezogen, […](新語濫造でなしに取った策はというと)
Die einen meinten, […] die anderen tadelten […](或る見解では〔略〕しかし難じる所では)
Nach den vier Elementen ordnet nun Paracelsus […](4精霊を基に次に分類するのは)
Dieses wollen wir auch […](といったことは)
Von den Kobolden […](小鬼のことは)
Diese wohnen meistens in den Bergen,(小鬼が住んでいるのは大体山岳で、)(君らがすぐやる間違い:「小鬼は大体山岳に住んでいて、」)
Von der Kunstfertigkeit der Zwerge […](小鬼が仕事をしてくれるという話だがこれは)
ここまでで、いわゆる「1格〔Nominativ〕主語」が前域に来ている文を度外視している。ほとんどが無題文だからだ。こういうような:
Man muß seine Terminologie nicht immer in ihrem traditionellen Sinne verstehen.(使っている語彙を普通の意味には取らないように。)
ところでこの文と上記「Nicht alles ist tot […]」がnichtによる部分否定である。「全員では」「普通の意味には」。さよう否定辞(実質nichtばっか)も「は」を付ける。これは主題化というより焦点化というnichtの役割である。ところでman構文というのは1格主語をゼロにしてそれ以外の要素を主役にするための方策なのだから、三上の言う「料理型」・「操作型」・「対格型」構文そのものである。この点からも、「人は~」ではない。日本語の勉強になるな!)
確かに、三上なども、ハが「兼務」するのが特に多いのが「ガ」格だと其処此処で述べているもので、1格(主格/ガ格)語と主題語(ハ付き)の地位が重なりやすい。だからと言って1格(主格/ガ格)語にハを付けると気持ち悪い糞日本語に総じてなる。ことを再三見てきた。それはハとガというよりバカのすること。
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で述べているように「は」 は って「スーパー助詞」であって広範な包括力(りょく)を有しているのだから、特定日本語の道具に貶めること は をやめよう。
いずれにせよ、以上述べてきた事柄が属している関心領域圏での主な攻撃目標が「主語」とかいう無知蒙昧の誤解誤謬以外何物でもないうんこを(お前たちから)殲滅することで、一石投じると、ドイツ語文法でも「主語」の地位が下落していることを言っておく。例えば
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の第1235項(822頁)に、主語(Subjekt)というのは不定詞句内に普通登場できない、とある。本記事冒頭で述べた話。これはいわゆる分詞構文(「文」ではないが)などでもそうである。
- só ist sie zu einer Halbgöttin geworden, [sie] aufs gemeine Leben verzichtend
こういった場合には、文の核である動詞から構文上見放されているかのようでないだろうか。しかも定動詞との結合も弱く、よって文への支配力も弱い。前回記事で見た櫃運搬文の元が第1354~1355項(879~880頁)だが、まず、述部動詞(Prädikat)に結合している要素ほど文の後に行く(prädikatsnah)。つまり、
- Die zwei kräftigen Männer(1格主語) tragen(述部動詞) die Kiste in den Hof.
という文が一番普通。それは、繰り返すが、しゅごー、じゅつごー、もくてきごーという「語順」が「大事」だから云々という話では全くない。(あと「SVO」というのは言語類型論のための装置であって、「主語・述語・目的語」教条に資するものではない。馴染みのSVO型言語から、
- OSV型のアプリニャ語(アラワク語族イニャパリ諸語)
- VOS型のバタク語(オーストロネシア語族マレー・ポリネシア語派)
- OVS型のヒシュカリヤナ語(カリブ語族)
等といった比較言語学。)主語が述部動詞から(=文から)最も見放されているから文頭などに来ているのである。追放されて、「は」用の席たる前域を占領しているのである。なんてやつだ。