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しばいてくぞ

森鴎外の『即興詩人』翻訳は本当に立派なものなのか (6)

 

前回の記事から

さてコンフェッティと言えば、乃木坂46しあわせの保護色の終盤でコンフェッティが舞うが、これに関して、「乃木坂工事中」第254回(2020年4月20日、「白石麻衣の卒業前に・・・全てのモヤモヤを解決しておこう」回)の後半の19分台あたりで生田絵梨花が話すエピソードで、白石麻衣が紙吹雪の銀テープをキャッチして松村沙友理にあげて、金のテープをキャッチして生田絵梨花にあげるという話があって、それよりその前の筒井あやめが話すエピソードで清宮レイのみかん食う映像が見れるという ………

さて何の記事だったか、

つまりそれだけの量の箇所がすっぽり抜け落ちているのである。これは「男の上なり。」と「察するに」の間に来るはずだが、すっぽり抜けている。やはり違うテキストを見ているのか、それとも鴎外が訳し忘れたのか。

ということで「Ich wollte mich davon überzeugen;」だが、これは相変わらず「いで二人の家に歸るを待ち受けて確めばや」とたっぷり添加がされている。「durch die Querstraße」も「人通り少かるべき横街を」と増量、「Annunziata」を「姫」とニクく訳しながら、「ihrer Zurückkunft harrend. Bald kam der Wagen an,」→「戸口に立ちて待つほどに、車は果して歸り着きぬ。」と原文とテン・マルを合わせないのは今までもずっとそうだったこと。

これで、前の前の記事で引用した原文は全部見た。では一気に飛んで最後の段落を見てみよう:

RIVER

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Gern hätte ich meinem Führer ein kleines Geschenk gegeben; allein ich hatte gar nichts! Da fiel es mir ein, daß ich doch noch zwei Scudi habe, die sich in meiner Tasche befanden, als ich Rom verließ; ich hatte ja nur die Börse mit dem mir als Nothschilling zugesteckten Gelde hingegeben. Zwei Scudi waren also in diesem Augenblicke meine ganze Baarschaft. Die eine bestimmte ich meinem Führer, die andere mußte ich zu meinem Bedürfnisse bis Neapel behalten, wo ich erst von meinem Wechsel Gebrauch machen konnte. Ich griff in die Tasche, aber mein Suchen war vergebens; man hatte mir schon lange mein kleines Eigenthum geraubt. Ich hatte gar nichts! So löste ich denn mein seidenes Tuch, das ich um den Hals trug, von diesem ab, gab es dem Manne, reichte den Uebrigen die Hand, und schlug allein den Pfad, der nach den Sümpfen führte, ein.

(Kruse, Jugendleben und Träume eines Italienischen Dichters, S. 270) 

最後と言っても手に入っている原文の本は第1部のみだから、↑引用したその末尾は鴎外訳の「我我は此人々に報せんとおもふに、拿破里にて受取るべき爲換の外には、」から。←このへんの語彙でCtrl+Fで探してくれ。だいたい原文をなぞっているが、訳し潰すところは潰しつづめたり、語間を跳梁したり、としている。そうやって潰しているからなのかそれとも最悪上掲文を見ていたのではなかったからなのか、ここでも原文と随分一致しない箇所が有る。

というか、原文が冗長なのである。2回言う「zwei Scudi」は1回しか言わず、とかくだらだら喋っている原文を簡潔な文にまとめている(一方1回しか言わない「Gern hätte ich […] gegeben」を「報せんとおもふに」「人々に取らせんものをと」2回言っている。原文を尊重する気がない態度はナイスだ)。

これは面白いもので、今までに、原文の口語らしい簡素な文言を擬古だか手コキだかな日本語に冗長に訳し拡げている様を見てきたが、ここでのように、原文が口語らしく喋りすぎているときには今度はこちらは雄勁というか略簡なる引き締まった ちんぽ 漢な文体を行使し、無駄を削ぐのである。「のである」と言ったが、まあそうなんだろう、そうなのだろうなのだろう。「のである」を消したくないし。のであることにしておこう。のであるのであるうるせえんだよ!!←これが口語らしく喋りすぎてる文。とにかく、だから、「Da fiel es mir ein, 」から「Gebrauch machen konnte.」までのぺらっぺらぺらっぺら喋っている部分をばっさりカットしているのである。ということにしておこう。そうして、上で見た謎の訳し落としも、実はこれ鴎外の自由闊達な筆のなせる業、無慈悲カットな訳業なのだろうとしておこう。ああよかった認知的不協和が解消できたわ(それ認知的不協和か?)。

恋とか…

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しかし「Ich griff in die Tasche, aber mein Suchen war vergebens; man hatte mir schon lange mein kleines Eigenthum geraubt. Ich hatte gar nichts!」という分量をばっさり「かい探ぐるにあらず」にまとめてしまうのはもはや大胆というもので(「大胆」ごときがなんで「もはや」やねん)、これでは、〈かい探ってはいません〉という意味になってしまう。「かい探ぐるに有らず」だ。お前日本語できんのか!!!!!その後から末尾までは大体原文なぞり。

さてこれで もうメンドいんで 十分な量の検討をしたと言えるだろう。そして………
メンドいからマトメもせんわ。