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森鴎外の『即興詩人』翻訳は本当に立派なものなのか (1)

青い未来

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渡り廊下走り隊

  • 発売日: 2013/03/27
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森鴎外アンデルセンも『即興詩人』もその前後の日本文学史も何も知らないし知る気もないがドイツ語は知っている者がこやつを評定するとどうなるものか。

もうそっちの森はどうでもいいんでそんなことより森保まどかの話しようぜ

我が匡では、ドイツ語に関する勘違いも、ドイツ語の文章に関するかん違いも、ドイツ語文献に関するカンちがいも、はたまた翻訳にかんする勘違いも、そして文人に対するカンちがいも、そもそも日本語にかんする勘違いも、どれも豊富に産出されるものだが、森鴎外の「翻訳」も翻訳の翻訳のまちがいであって、Lauritz Kruseによるアンデルセン原文からのドイツ語訳…からの訳であり、ゆうたら孫訳である。アンデルセン→Kruse→鴎外、ググってまったくヒットしない情報だから、指摘しているのは人類史上私が初めてだろう(ちゃうならゆうてこいやコラ)。Lauritz Kruseというのはデンマークの著作家、←デンマークWiki読めんから何とかしてくれ。

そして、後段で確認するが、そもそもがドイツ語非ネイティブであるKruseのその文章、相当たいがいクダけた口語である。これを和漢混合格調文に訳すのは完全にオカド違いだ。同じ19世紀前半出版ドイツ語長編小説ならノヴァーリスクライストシュティフターあたりをそんな文体に訳すのならまだしも、こんな砕けた口語を無理矢理な擬古日本語に変形したもの、こんなものが巷間《原文を超えている》などと ほめそや ホザかれているのなら、実情を何も知らないアホどもの噂話が行き交っているに過ぎない。

つまり底本は:

Kruse, Lauritz: Jugendleben und Träume eines Italienischen Dichters. Nach H[ans]. C[hristian]. Andersens Dänischem Original: Improvisatoren. Ins Deutsche übertragen von L[auritz] Kruse. Erster Theil. Hamburg: Verlag von August Campe, 1835.

ということになる(Google Booksだな)。この事、つまりAndersenのImprovisatoren(1835)を同国人(なんだろう、国=語という考えをしててはならないが)が出版同年に訳出版しているという話も、ググってもロクに何も出ず、Kruseのフルネームも付きできっちり紹介しているのは、せいぜい

の176頁や

Blaetter fuer literarische Unterhaltung (1826-1850 [-1898])

Blaetter fuer literarische Unterhaltung (1826-1850 [-1898])

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    9783598233197 / 3598233191

の95頁ぐらいのものである。これらも詳細な説明ではない。多少ましな分量の記載事項という程度。題に「Erster Theil」とあるがそれ以後の部があるのかも委細不明。アンデルセンと言えばシャミッソー(Adelbert von Chamisso, 1781–1838)、後者の文章に付けた出版社注(なのだろう)でKruse訳に言及してはいるアンデルセン宛1836年7月21日ベルリン発書簡に付けた脚注、

Leben und Briefe von Adelbert von Chamisso. Hrsg. durch Julius Eduard Hitzig. Bd. 1. (In: Adelbert von Chamisso's Werke. 5.er Bd. Leben: 1. und 2. Buch. – Briefe. Nach seinem Tode herausgegeben von Julius Eduard Hitzig. Leipzig: Weidmann'sche Buchhandlung, 1839.

の209頁を見てくれ。

次回の記事に続く