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しばいてくぞ

ドイツ語から日本語が分かる (1) Abtönungspartikel (2)

 

前回の記事から 

着色詞から日本語の何が、日本語から着色詞の何が分かるか。それは、ニュアンスを表現するのに、ドイツ語なら着色詞という文中の不変化詞(Partikeln)1粒1粒で、日本語なら文末という全てを包括する包括ポイントで表現する、という言語戦略の相違である。やってることの見た目(=形態)が違うがやってることの内実が極めて相似しているということを見る、という物の見方が学べる。ということである。結論言ったんでもう終わってええかな

  • Ich bin doch vorhin schon einmal da gewesen.
    (さっき居ましたけどね。)
  • Ich bin ja vorhin schon einmal da gewesen.
    (さっき居ましたでしょ。)

といった文の着色詞には何かある。それは日本語なら、「終助詞」などという狭いものを一部としている文末表現で表すようなものである。確かに、「さっき居ましたけどね」と、「さっき居ましたでしょ」と、「さっき居ました」と、この3つ、明らかに違うと誰でも認識できる(「誰にでも」から「に」を取るな!「までに」から「に」を取るな)。

違いを我々よく分かっていて十全に使いこなしている。まずそれを認識しよう。

着色詞や日本語文末がニュアンスを付けるものであるから、どちらも研究上軽視されてきたが、いわゆる「コミュニケーション」を考慮に入れると、俄然重要になる。なるし、その前にあなたはあなたが向かってきたテキストでこのニュアンスを見過ごしてきているであろう。Abtönungspartikelなんて知見なかったんだし。もっかいテキスト見直そか。

„Sollte es denn möglich sein!
(ありえへんがな

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 2

Warum, sagte der Heilige, gieng ich doch in den Wald und die Einöde?
(なんで辺鄙なところに来てしまったのだ

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 2

Wo ist doch der Blitz, der euch mit seiner Zunge lecke?
(どんな雷落ってくるかわからんかい

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 3

Wie nennen sie es doch, was sie stolz macht?
(何をそない嬉しがっとるかゆうとやな

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 5

„Nicht doch, sprach Zarathustra;
(ちがう

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 6

wo weilte er doch?
(なんで腹空かんだんや

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 8

Geht er nicht daher wie ein Tänzer?
(踊ってるみたいだ

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 2

Wenn nur nicht der Teufel ein besserer Dieb ist, als Zarathustra!
(おたくより一枚上手てわけじゃなかったらええな、へえへえ

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 8

Man muss schon ein Meer sein,
(海にならないかんのだ

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 3

Will Zarathustra wohl dem Teufel seinen Bissen stehlen?
(死体から追い剥ぎしまん

Friedrich Nietzsche: Also sprach Zarathustra, Zarathustra’s Vorrede 8

Student Dance

Student Dance

  • 欅坂46
  • 発売日: 2018/08/15
  • メディア: MP3 ダウンロード

ドイツ語は不変化詞で発話に着色する。それは日本語が文末で日夜やっていることである。これはドイツ語の副詞(狭い意味での不変化詞)は日本語では文末表現で考える「に訳す」ではない!)ように、という問題の一部である。

ここからHispanotecaの中のLexikon der Linguistik und Nachbardisziplinenというドイツ語-スペイン語文法記事集の中のABTÖNUNGSPARTIKELN Partículasを参考に話進めてく
このように、ウェブからの出典の明示をする時には(出典明示しない時には話が別だが)、当該ページの上位ページなり包括ページなりを示す。さらにそのページの作成者なり所有者なりを記しておけれたらなおよい。そうやって当該ページに関する情報をなるべく豊富に表示しておくと、そのページが消えたとしても、元はどういった性質のサイト上のどんなページだったのかということが判るし、判ってそのページの関係物やそのページの類似物に辿り着ける可能性が残される。ところが、ウェブからの出典の明示を「URL+閲覧日」でするという全く意味の無い奇習が横行していて、特に研究者がこの大愚挙に隷従盲従している。リンクは、切れる。閲覧日なぞ、お前が個人的に閲覧した日というお前の個人的情報だ。そのページの記述に辿り着くためのいかなる何も表示しとらん。おいそこのボケ、お前のことだよ。お前は、書籍の出典明示をする時に「読んだ日」を記載するのか)。このLexikon der Linguistik und Nachbardisziplinenというの、おそらく全記事の中でこの着色詞の記事だけが出色である。

着色詞で、対話状況・対話脈絡を設定する。着色詞が働くのは発言内容そのものにでなくて発言内容についてという次元でであり、つまりメタ機能を有する。また効果機能を有する。例えば「doch」を使った「さっき居ましたけどね」を見ると、「~なのだよ知ってろよ」という文着色をして、話者間情報共有状況を設定しつつ(軽重あれ)非難の色を帯びさせている。次に「ja」を使った「さっき居ましたでしょ」を見ると、「~なのです御存知のように」という文着色をして、話者間情報共有状況を設定しつつ既知に訴えかけている(訴訟を起こすわけじゃない)。

ところでこういった「doch」と「ja」だが、このようにいわゆる「平叙文〔Aussagesatz, Deklarativsatz〕」上で使うとかかる着色になるが、いわゆる「命令文〔Imperativsatz, Befehlssatz〕」上で使うと別の着色になる。

  • Mach doch das Fenster zu! (窓閉めてもらえたら
  • Mach das Fenster zu! (窓閉めんかい

平叙文の時と強度が反転している。実際、着色詞はふつうアクセント無しなのだが、命令文では「ja」にアクセントを付けるのである。

さてそれでは着色詞1個1個の意味内容はと言うと、ググれば大方分かるが完全網羅ページが見つからない。書籍でなら、「モダル詞〔modal particles〕」と呼んで解説に1章丸ごとを当てている『Hammer's German Grammar and Usage』が恐らく完全網羅的(+実践的)である。

Hammer's German Grammar and Usage (Routledge Reference Grammars)

Hammer's German Grammar and Usage (Routledge Reference Grammars)

  • 作者: Professor Martin Durrell
  • 出版社/メーカー: Routledge
  • 発売日: 2011/05/27

ただ、意外にだが独和辞典上の説明もかなり理解につながる。着色詞としてけじめを付けている訳ではないが、例えば今aberなりschonなりruhigなりを見てみると、ア〇の1つ覚えの「しかし」「すでに」「穏やかに」(という日本語脊髄反射訳理解も間違っているのだが)の他に、こういった意味とは無関係な独特の文着色用法が記載してある。そのようなわけで着色詞の網羅書がHammer's以外なら小学館大独和だったりする。(学習が進んできたら辞典の語意は尻のほうから見てこな。ゆうて勿論語意じゃなくて用例用法を見ろよ。)

次回の記事に続く

 

独和大辞典コンパクト版 〔第2版〕

独和大辞典コンパクト版 〔第2版〕

  • 作者: 国松孝二
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1999/11/01