ドイツ語の名詞には性があって大変らしい。「文法性〔grammatical gender〕」な。例の日本語ムズカシイ自慢など思い出すが、ありがちな「難しい」自慢の一種だな。
どんな言語にもギョっとする一面がある。中で名詞性は大したものでない。
性の決定法則が何個も分かっている。
- kn-で始まる1音節名詞が全部男性(Köpcke, Sechs Prinzipien für die Genuszuweisung im Deutschen: Ein Beitrag zur natürlichen Klassifikation (1984), S. 29–30)。ただしKnieのみ中性。
- アルコール飲料が全部男性。ただしビール(系)が中性:das Herrengedeck, das Ale, das Pilsner, das Shandygaff, das Michelada。
- -eで終わる名詞の90%弱が女性。次回記事参照。
- 降水気象がすべて男性だから、-eで終わってもSchneeは男性だし、「露」のder Tauが「ロープ」のdas Tauと区別できる(ちなみにSchneeだが、Kaffee, Charme, Käseと同様-eに終わる男性名詞だと言うのに、弱変化しない。それはそうで、弱変化するのは、-eに終わる生き物の男性名詞だからだ。)
性て覚えるのが大変なのだろうか。覚え方を教わらない(または教える側が知らない)だけだろうか。狭い世界の中でうれしがる自虐慢はいい加減にしよう。ドイツ語で覚えるのがもとい把握するのが大変なのは名詞性だけではない、というか名詞性ごときではないからである。
名詞には、男性・女性・中性の別があり、、生物・無生物・…等々がある。和訳だけを知っても役に立たないから言い直すと、masculine・feminine・neuter・animate・inanimateの名詞がある。
こういったものを「名詞クラス(noun class)」という。
- アブハズ語(北西コーカサス語族)やザンデ語(アダマワ・ウバンギ語派)の名詞クラスに人間(human)・非人間(non-human)等がある
- 「アボリジニ」のヤニュワ(Yanyuwa)語に16の名詞クラスがある
- バントゥー諸語に名詞クラスが22ある
そうウィキペディ なお「名詞クラス」とは、名詞をクラス分けであって、名詞というクラスではない。つまり、名詞というクラスを設けて、それと並んで形容詞のクラスや動詞クラス、形容動詞クラスやナ形容詞クラス、副詞クラスや福祉課、助詞クラスや女了クラス、ノースリーブスやチームNIII、若様軍団や五人囃子、渡り廊下走り隊やNot yetがある、という訳ではない。名詞を何個かのクラスに分けるということである。
ここまでで、名詞クラスと文法性の相違点を捨象してなどいるが、いずれにせよ、「ドイツ語の性」などとぼっっけーーっと言っていたものを、広い観点から見ることが出来ているだろう。そうであればこの記事としてはそれで良(よ)い(「良い」は「よい」としか読まない。「いい」とは読まない)。
以上ドイツ語の名詞クラスだけが大変な訳でないことを見せた。で、分類の法則があることを述べているが、次々回から詳細に紹介して行く。その前に次回で「性」に関する注記を記しておく。
なお名詞性(grammatical gender)のほうは2~3個だが、昨今人間性(gender)のほうを63個に分類したり71個に分類したりしている。